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<日本の電子音楽>
日本の電子音楽


■ 日時 : 7月11日(土)
Aプロ14:30
Bプロ16:45
Cプロ19:00
13:30よりプログラムごとの入場整理券を配布します。
■ 会場 : 草月ホール (→地図)
■ チケット : 全席自由
プログラムA ¥1,500
プログラムB ¥1,500
プログラムC ¥3,000
一日通し券(各回入替有り) ¥5,000
佐藤聰明

1950〜60年代、電子音楽黎明期から大阪万博までの傑作を一挙上演。選曲は坂本龍一。
夜の部は、佐藤聰明の豊饒な音霊(おとだま)の世界
 
 1950〜60年代、電子音という新しい素材を手に、驚くべき壮大な音響世界を作り出していった日本の作曲家たち  柴田南雄、黛敏郎、湯浅譲二、武満徹、一柳慧…。電子音楽黎明期の、いまなお斬新な作品の数々を、ライヴ空間で体感する。
 1950年代の日本の音楽界に、「電子音」という全く新しい技術がもたらされた。当時、欧米も日本も大きな時差なく同じスタートラインに立つ技術だっただけに、欧米に追随することなく日本独自の発展を遂げることができたのだった。日本を代表する作曲家たちがこぞって試みた未知の音響の創造は、現在のエレクトロニック・ミュージック・シーンから、クラブ・カルチャー、そしてJ−popにまで、広く影響を与えている。そのあくなき探究心と底知れぬ実験精神に、現代の聴衆も圧倒されるに違いない。
 
坂本龍一氏が語る、日本の電子音楽
  聞き手・構成:小沼純一(音楽文化論/早稲田大学文学学術院教授)

■カッコいい「正弦波」
 今回、まず候補の曲のリストをいただき、基本的にはなるべく多くの作曲家の作品を入れようと考えました。  
 どのように選曲したかといえば、当然音楽的な質として高いもの、今聴いても面白いもの、そしてそれが創作された時代を感じさせるものを中心としました。ぼくが子供のときに耳にしてよく知っているものもありますし、今回はじめて真剣に聴いたというものもあります。選曲用のリストには、正直なところ首をかしげるようなものもありましたが、ほぼ主要と思われる作曲家の作品は選んだつもりです。
 たとえば、1955年の黛敏郎作品は3つでシリーズになっているので、全て聴いたほうがいいのかそれとも1曲あればいいのか、という2通りの考え方があります。でも聴いてみると、《素数の比系列による正弦波の音楽》が一番カッコよく、その他は変なモデュレーションがかかっていて、いま聴くと思わず「アレ?」と笑っちゃうんです。それに対して《正弦波》はカッコいいですね、禁欲的で。シュトックハウゼンにも勝るとも劣らないような質に、あっという間に、ほんとうに2-3年で追いついている。すごいと思います。現在活躍している池田亮司に通じるような、ひじょうにストイックなところもあります。
 武満徹は、意外に早くミュージック・コンクレートを始めています。でも、やはり初期の《空、馬、そして死》などはちょっと笑ってしまうところがある。でも、いままでちゃんと聴いていなかった武満さんの一面が今回見えて面白かった。《水の曲》あたりからだんだんよくなっていきます。
 素材が何であっても、作曲家の資質というのは変わらないというのもおもしろい。高橋悠治は最初から高橋悠治だったんだなっていうことが、よくわかります。感覚的にはいまの高橋悠治と変わらないということを再確認させられました。

■若々しい柴田、ポップな松平、コラージュの一柳
 柴田南雄の、作曲家としても質が高く、学者としても一流というのは、稀なケースですね。彼の作品は頭のいい学者がいち早く新しい音楽語法を取り入れましたという感じがちっともない。しかもお茶目だったりする。
 松平頼暁作品は、意外とポップな視点で曲をつくっているところ、ポップアート的なところがとても新鮮です。
 一柳慧は電子音楽をいち早くはじめ、いきなりポンと高い水準にいっている。時間が経っても質は保たれています。またコラージュの感性がおもしろい。書かれた譜面もコラージュ的だったんじゃないかなと思います。一柳慧は歌謡曲だろうと何だって書ける人だと思うんです。逆に言うと、何が本音なのかわからないところもありますけれど。
 ざっと1950年代から70年代の作品をみてみましたけれども、僕が物心ついたころにはすでに電子的な音はあったわけです。とはいえ、電子音楽はまじめそう、ストイックという印象を抱いていました。一度はやってみたいけれど、長くは続かないかもしれないというふうに思っていたふしもあります。一方、ガラスが割れる音とか、ミュージック・コンクレートはおもしろいなと思っていました。ぼくが実際に電子的な音をだしたりするようになるのは大学にはいってからです。

■「個展」誕生の頃
 当時の機材では、どう配線したらいいかとかいまのように簡単ではありませんでした。全部パッチ方式で、簡単な話、自分で発振器から出力につながないと音は一切でない。そういう意味ではいい経験をしました。湯浅作品で、フィルタリングしてホワイト・ノイズの一部をカットし、一種のメロディのような音響が生まれる-----あれにはすごく憧れたし、やってみたいと思ったけれど、なかなか難しかったですね。あと、全周波数がでているはずなのに、人間の耳の特性でそうは聴こえないというのもおもしろい。リヴァーブの有無も効果的です。シュトックハウゼンの曲もリヴァーブが急になくなったりして、とてもカッコいい。それはつまみひとつでできるわけですが、リヴァーブによって、どれだけ音世界が変わるかというようなことも知りました。
 《個展》は、たしか荻窪のレコード店、新星堂の地下だったかでやった作品です。僕が当時のコルグのシンセサイザーで予めつくったテープの音に、ライヴの音――僕自身も参加しているんですけど----3、4人くらいで演奏したものを重ねています。元になった、自宅制作のテープ音源はどこを探しても見つからないんですけども、大したものではありませんよ。こんな偉い先生方の作品と一緒にお聴かせするほどのものではないんですが、一応選者の作品ということで(笑)。

■日本的要素を湛えた電子音楽
 最後になりましたが、すべてが「ここ」からはじまったわけです。これ以前にはこういう機材を使って音楽をつくることもなかったわけなのです。いわゆる楽器音じゃないものをつかって音楽をつくるというのはそれなりに歴史があるとはいえ、電子音はまったく新しい音素材で、可能性としては無限です。理論的にはどんな音でもつくれる。楽器に縛られることも、それまでの西洋的な文法に縛られることもない。
 個人的な話になりますが、僕は1970年に大学にはいりました。そのときから西洋音楽の歴史からどうやって離脱するか、離陸するのかということをずっと考えていました。ひとつは電子音という未知の、無限の可能性のある音素材をつかうこと、もうひとつは、非西洋的な音楽である世界の民族音楽を勉強することという二大柱を立てて入学しました。長い西洋音楽の歴史がデッドエンドにつき当たったのがちょうど70年くらいだと思いますけれど、幸か不幸かそれと同じ頃に大学に入り、これから自分で音楽をやろうというときに、追いかけるべきモデルとなる西洋音楽がなくなった。だから自分でつくっていかなくてはならない。そういう時期でした。先輩の作曲家たちもそういう問題意識を当然みんなもっていたでしょう。如何にヨーロッパから離れるか-----自分たちの言葉に向って努力してきた人たちばかりです。電子音響というひとつのツールというか、新しいパレットをえて、新しい音楽を書くことができる。その歴史だと思います。
 もちろん電子音楽の短い歴史のなかでも、日本的な要素というのがどんどん入ってきた。それも面白いなと思います。同じ電子音、同じパレットを使っても、ヨーロッパやアメリカの作曲家の作品とは違うところがある。今回聴いてもし興味をもたれたら、この時代の欧米やほかのアジア――アジアでは日本以外だと数は少ないかもしれませんが――の作品も聴いてみてはどうでしょうか。欧米から大きな影響を受けてはじまりながら、どうやって独自のものができていったかを較べながら聴いてみると面白いでしょう。(2009年5月11日収録)
 



●プログラムA 「水の曲」
九世観世銕之丞 (シテ方観世流能楽師)
有馬純寿 (音響ディレクション)
-
●プログラムB
有馬純寿 (音響ディレクション)
-
●プログラムC
佐藤聰明 (デジタル・ディレイ)
小坂圭太 (ピアノ)
稲垣 聡 (ピアノ)
野々下由香里 (ソプラノ)
山口恭範 (パーカッション)
有馬純寿 (音響)




■プログラムA  テープ作品集:「電子音楽の夜明け」
◎選曲:坂本龍一
1950〜60年代、電子音という新しい素材を手に、未知の音響世界の創造に挑んだ日本の作曲家たち… 電子音楽黎明期の傑作の数々を、坂本龍一が選曲
□黛 敏郎 ミュージック・コンクレートのための作品《X, Y, Z》1953
□黛 敏郎 《素数の比系列による正弦波の音楽》1955
□諸井 誠+黛 敏郎 《七のヴァリエーション》1956
□武満 徹 テープのための《水の曲》1960
    [出演] 九世観世銕之丞(シテ方観世流能楽師)
□一柳 慧 《パラレル・ミュージック》1962
□高橋悠治 《フォノジェーヌ》1962
□真鍋 博『時間』1963(映像作品/音楽:高橋悠治)
□武満 徹《怪談》より〈木〉、〈文楽〉1964/66
有馬純寿(音響ディレクション)


■プログラムB  テープ作品集:「大阪万博へ」 
◎選曲:坂本龍一
日本の電子音楽が、創作数の上でもピークを迎えた1970年。大阪万博では、開会式をはじめ、お祭り広場、各パビリオンで、電子音響の壮大な実験が繰り広げられた。Bプログラムでは、電子音響の隆盛期、’70年万博までの代表作を一挙上演
□湯浅譲二 ホワイト・ノイズによる《イコン》1967
□松平頼暁 テープのための《アッセンブリッジス》1968
□柴田南雄 《電子音のためのインプロヴィゼーション》1968
□一柳 慧 《東京1969》1969
□三善 晃 《トランジット》1969
□湯浅譲二 《ヴォイセス・カミング》より〈インタヴュー〉1969
□湯浅譲二 《スペース・プロジェクションのための音楽》1970
□坂本龍一 《個展》1978
有馬純寿(音響ディレクション)


■プログラムC 佐藤聰明 作品集
〜テープ、デジタル・ディレイと2台ピアノのための〜
 《エメラルド・タブレット》 1978 (テープ作品)
 《リタニア》 1973、《太陽讃歌》 1973(2台ピアノ、デジタル・ディレイ)
 《宇宙(そら)は光に満ちている》 1979
      (ソプラノ、ピアノ、パーカッション、デジタル・ディレイ)
小坂圭太(ピアノ)、稲垣 聡(ピアノ)、佐藤聰明(デジタル・ディレイ)
野々下由香里(ソプラノ)、山口恭範(パーカッション)、有馬純寿(音響)

<企画協力>小沼純一(音楽文化論/早稲田大学文学学術院教授)
<機材協力>オアシス
<協力>堀内宏公(日本伝統文化振興財団)




4月25日[土] 10:00a.m. 発売開始
全席自由
プログラムA ¥1,500
プログラムB ¥1,500
プログラムC ¥3,000
一日通し券(各回入替有り) ¥5,000



- アリオンチケットセンター   TEL: 03-5301-0950
  営業時間: 土・日・祝日を除く10:00a.m.〜6:00p.m.

- チケットぴあ   TEL: 0570-02-9999 (一部携帯電話と全社PHSのご利用不可)
  Pコード 321-006 (通し券 Pコード 782-292)
  http://t.pia.jp/

- e+(イープラス)     http://eplus.jp/

- ローソンチケット   TEL: 0570-000-407
(全国ローソン店頭ロッピーで直接購入できます) Lコード 34971
  http://l-tike.com/




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【九世観世銕之丞】
八世観世銕之亟静雪(人間国宝)の長男。本名は暁夫。伯父観世寿夫、及び父に師事する。1960年、4才で初舞台。84年、『道成寺』を披く。
 96年、映画『眠る男』にて能「松風」を舞う。01年、菅原道真公御神忌千百年大祭記念能新作能「道真」演出・出演。02年、九世銕之丞を襲名。05年、ポール・クローデルの詩を題材にした創作能「薔薇の名−長谷寺の牡丹」のシテ。同年、川本喜八郎作人形アニメーション映画『死者の書』大津皇子役にて声の出演。06年、生誕百年記念ベケットの夕べにて能舞「Neither」節付・作舞・出演等、古典を越えた世界でも活躍。銕之丞家の当主として、また銕仙会の棟梁として能界を担う存在である。2008年度日本芸術院賞受賞。重要無形文化財総合指定保持者。社団法人銕仙会理事長。

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【佐藤聰明】
 1947年生まれ。作曲を独学。83年、エイジアン・カルチュラル・カウンシルの招きでニューヨークに1年間滞在。作品はアメリカ、ヨーロッパ、環太平洋諸国で幅広く演奏されており、ことにアメリカでは個展が音楽祭等で十数回にわたって催されている。
 88年、CD作品集「リタニア」がニューヨーク・タイムズの年間ベスト・レコードに選ばれ、全米公共放送の第2位にランキングされた。
 80年芸術祭賞、97年ニューヨーク・ダンス・アンド・パフォーマンス賞を受賞。
 99年、クルト・マズアとニューヨーク・フィルは「メッセージス・フォー・ミレニアム」特別演奏会を企画し、オーケストラ曲《季節》を委嘱した。
 他にも、クロノス・カルテット、バング・オン・ア・キャン・オールスターズ等から委嘱を受け、アルバムも内外で多数リリースされている。
 今年8月、英国のダーティングトン国際音楽祭のテーマ作曲家として、オーケストラ作品など20曲前後が演奏される予定。
 

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【小坂圭太】
 東京藝術大学附属音楽高校・同大学音楽学部を経て、1987年、同大学院音楽研究科修士課程修了。在学中より、ソロ活動はもとより、伴奏、室内楽、オーケストラの鍵盤楽器、コレペティートゥア等様々な分野で古典から新作初演まで多岐に亘る活動を繰り広げる。
 1985年、第54回日本音楽コンクール(ピアノ部門)入選、1989年、第58回同コンクール委員会特別賞(協演賞)受賞。
 現在、お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授。相愛大学音楽学部、愛知県立芸術大学音楽学部等でも後進の指導にあたっている。

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【稲垣 聡】
 桐朋学園大学音楽学部ピアノ科卒業、リヨン国立高等音楽院大学院修了。1991年東京現代音楽祭室内楽コンクール(競楽)入賞、1992年第4回宝塚ベガ音楽コンクールピアノ部門第1位・特別賞、2003年滋賀県文化奨励賞受賞。リヨン、東京、大阪、京都、横浜などでリサイタル。
 アンサンブルや現代音楽の分野においても活躍し、ISCM(国際現代音楽協会)世界音楽の日々、アジア音楽祭、サントリー・サマーフェスティバル等に出演の他、ハンガリー国営ラジオ、韓国ソウル、パリ、ベルギーなどに招かれている。現在、アンサンブル・ノマドのメンバー、相愛大学音楽学部准教授。
 

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(C)Mariko Kubo
【野々下由香里】
 東京藝術大学声楽科卒業、同大学院修了。関西フランス音楽コンクール、第4回日仏声楽コンクールともに第1位入賞。パリ・エコール・ノルマル音楽院留学中トゥールーズ等国際コンクールに入賞。1989年「フィガロの結婚」ケルビーノ役でレンヌ歌劇場にデビュー。
 帰国後は中世から現代まで幅広いレパートリーで活動。「バッハ・コレギウム・ジャパン」のソリストとして、国内外の公演に参加、CDは20点を超える。モンテヴェルディ、パーセル、ラモーなどバロックオペラへの出演の一方、フランス歌曲や現代作曲家の新作初演にも力を注いでいる。東京藝術大学古楽科准教授。

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(C)林喜代種
【山口恭範】
 東京藝術大学を卒業後、欧米で研鑽を積み、1966年パーカッションソロリサイタルを開催し注目される。1972年より10年間新日本フィルハーモニーに在籍。同年ピアノの高橋アキ、フルートの小泉浩とグループ「ARK」を結成。1983年、武満徹企画の「第11回Music Today」でソロリサイタルを行う。2004〜5年、オペラプロジェクト「タケミツ・マイウェイ・オブ・ライフ」にソリストとして出演(ベルリン、パリ、東京)。2008年、M.F.J.の招聘で、ニューヨーク、ワシントン等でコンサート、同時にジュリアード音楽院のマスタークラスで「武満の愛した音」をテーマにレクチャーを行う。
 1983年に第1回「中島健蔵音楽賞」、2004年、第13回「朝日現代音楽賞」受賞。同志社女子大学嘱託講師。名古屋音楽大学客員教授。「アンサンブル・タケミツ」メンバー。

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【有馬純寿】
 1965年生まれ。エレクトロニクスやコンピュータを用いた音響表現を中心に、電子音楽、即興演奏などジャンルを横断する活動を展開。また室内アンサンブルのメンバーやソリストとして、これまでにジョン・ケージ、スティーヴ・ライヒ、リュック・フェラーリ、湯浅譲二、望月京など多く作曲家の電子音響を伴う現代音楽作品の音響技術や演奏を手がけ、高い評価を得ている。
 2009年は篠崎史子(harp)、大石将紀(sax)との器楽と電子音響によるコンサートなどが予定されている。現在、帝塚山学院大学人間科学部准教授。





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