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■ 企画構成 |
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谷本一之/船山信子/山口 修
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■ 企画協力 |
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横井雅子
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■ 期間 |
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1990年7月9日〜1990年7月29日
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■ 撮影 |
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堀田正實
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【企画趣旨】 ジプシー音楽、そしてそこから広がる波紋が、第6回音楽祭'90のテーマです。
ジプシーは、インドに端を発したといわれ、バルカン半島や北アフリカを経て、ヨーロッパはもとより世界の多くの地域へと流浪の旅を重ねてきた民族です。いまでは定住の地を見出したジプシーもいますが、移動生活をすることでアイデンティティを主張する傾向がいまなお強く、それぞれの土地で自らを「周縁」的なものと位置づけながらも、本心は「自分たちこそ人間そのものである」ことを強く意識しています。それは、ジプシーの自称「ロム Rom」がほかならぬ「人」を意味することからもうかがえます。
他方、流浪するジプシーを横目で見てきた西洋文化の「中心」としての定住諸民族は、ジプシーを異文化として無視するのではなく、むしろ、自由を謳歌する彼らに対して憧憬の念をすら抱き、関心を寄せてきました。その証拠に、西洋音楽には、ジプシー音楽の痕跡を数多く見出すことができ、またジプシー音楽が停滞しがちな芸術活動を活性化する契機を提供することすらありました。
文化の「中心」と「周縁」は、視点を転換すれば逆転するものでもあります。ジプシーが西洋文化に果した役割を考え、ジプシーの側から西洋音楽をみてみよう、というのが今回の試みです。こうした逆説的視座を一時的にせよ設定することができるのは、西洋からすれば「極東」に位置する私たち日本人の特権かもしれません。こうして西洋からのディスタンスを逆手にとって、西洋音楽の特殊性と普遍性を考えるのがこの音楽祭の主眼ではありますが、ジプシー音楽やジプシー的な音楽を楽しむうちに、それは知らず知らずに理解できるはずです。
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