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■ 企画構成 |
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近藤 譲/成澤玲子/星川京児/江戸京子
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■ 期間 |
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1993年7月5日〜1993年7月24日
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■ 撮影 |
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堀田正實
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【企画趣旨】 インドは、古代以来現在まで長い歴史を通じて、極めて豊かな独自の文化と文明を育んできました。それは、地球上の他のどの世界ともまったく異質の、もうひとつの世界です。西洋の人々にとって、そして又、同じアジアとはいえ異なった文化圏に在る私達にとって、インドは、長い間、遠い彼方の不思議な「夢の国」でした。否、飛行機が長大な道程をほんの数時間の旅に縮めてしまった現代でも、インドはその文化と文明の独自性と異質性の故に、「遥かなる国」であり続けています。
第9回音楽祭は、この「遥かなる国」インドに焦点を当てます。インド亜大陸は、西欧世界と並んで、極めて高度に洗練された音楽文化を達成しました。しかし、その両者の音楽は、当然、根底から異なっています。そして、世界中が急速に西洋化しつつある今日にあっても、インドの音楽伝統は、安易な西洋化に決して屈せず、その世界の人々の生活の中にしっかりと根を下ろしています。
とはいえ、この音楽祭の目的は、インドの古典的伝統音楽の紹介のみにあるわけではありません。確立した伝統そのものよりは、むしろ、周囲の音楽文化と交りつつ常に生きもののように変化してゆく音楽文化。即ち、自らの伝統に立ちつつ、西洋的音楽との接触によって多彩な変容を見せる現代インド音楽の生命力こそが、この音楽祭の着眼点です。
インドと西洋という二つの異なった世界の接触は、又一方で、西洋の音楽にも少なからぬ影響を与えてきました。単なる異国趣味的な主題としてだけでなく、ロマン主義思想の背後に、そして、今世紀の革新的な作曲の内部にも、「異質なる国インド」の影が、色濃く映っています。
異質な文化との混淆は、時に破滅を招く危険を孕んでいます。しかし一方で、新たな文化の誕生は又異質なるものの出会いからもたらされます。今回のから、そうした、危うくも創造的な異世界接触の最前線を垣間見ていただければ、と思います。
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