■ 企画構成 田之倉稔/戸口幸策/船山信子/山口昌男
■ 期間 1995年7月8日〜1995年7月21日
■ 撮影 堀田正實

【企画趣旨】  人間はよく笑いますが、なぜ笑うのでしょうか。笑いの理論化に努めるものは多いものの、常に解明されるのは一部分でしかありません。それほど笑いの領域は広大無辺なのです。いつの時代にも、どの地域にも笑いは存在し、芸術と結びついてきました。歴史的にいえば、笑いは「かたち」として伝えられてきています。
今年のは11回目という転換の年なので、幕間劇(インテルメッツォ)風に、その「笑いのかたち」をお目にかけます。
「笑いの古形」としてはギリシャ喜劇などの古典喜劇が考えられますが、現代人の笑いを喚起するものとして「マドリガル・コメディ」をまずとりあげます。ここでいう「コメディ」とは「コンメディア・デッラルテ」のコメディ、16世紀のイタリアでマドリガル・グループが喜劇役者を同行して演じていた仮面の歌芝居です。「笑いの古形」はもちろんアジアにも豊富にあります。韓国には「タルチュム」という仮面劇があり、この劇では僧侶や貴族(両班)に代表される権力者たちは、道化役の下僕たちに愚弄されます。日本では狂言がそれにあたり、大名や山伏たちが、太郎冠者などの民衆たちにからかわれます。「武悪」のようなデフォルメされた、滑稽な面が使われるところもタルチュムと一脈あい通じます。
このように「笑いのかたち」というテーマを設定することによって、音楽・演劇・舞踊をつないでいるもの、あるいは異文化の内部に通底している喜劇的要素を俯瞰する視座を手に入れることをめざします。

マドリガル?コメディ

ドミニク?ヴィス

韓国の仮面劇 鳳山仮面劇




・マドリガル・コメディ
ドミニク・ヴィス(カウンターテナー)  マリオ・ゴンザレス(喜劇俳優)   アニエス・メロン(ソプラノ)   エドウィージュ・ブルディ(ソプラノ)  ブリュノ・ボテルフ(テナー)   グロリア・パリス(喜劇女優)   フランソワ・フォーシェ(バリトン)   ラファエル・ビアンチョット(喜劇俳優)   ヴァンサン・ブショ(バリトン)   エリック・ベロック(器楽奏者)  アナ・イエペス(舞踊家)   エレーヌ・バルディーニ(舞踊家)  ヴェロニク・ラフォリ(アクロバット)   ヴァンサン・ド・ラヴネール(アクロバット)   ロレンツォ・シルヴァ・ロドリゲス(アクロバット)   エリック・ベロック(リュート/ギター)  アンドレア・ペルージ(チェンバロ/オルガン/ヴィオラ・ダ・ガンバ)   イムケ・ダヴィッド(リローネ/ヴィオラ・ダ・ガンバ)   マチュー・リュソン(ヴィオラ・ダ・ガンバ/ヴィオローネ)  

・ 仮面・音楽・道化
[司会]田之倉稔(演劇評論家)   [パネリスト]遠藤啄郎(演出家)  高橋康也(英文学者)  戸口幸策(音楽学者)  

・ 狂言−伝統芸能の中の笑いのかたち
茂山あきら  茂山千三郎  丸石やすし  茂山 茂  茂山千作  松本 薫  茂山千之丞  茂山正邦  茂山眞吾  丸石やすし  前田たえま 

・ ドミニク・ヴィス−14〜20世紀をうたう
ドミニク・ヴィス(カウンターテナー)   フランソワ・フォーシェ(リコーダー)   イムケ・ダヴィッド(ヴィオラ・ダ・ガンバ)   エリック・ベロック(リュート)   アンドレア・ペルージ(チェンバロ)   藤井一興(ピアノ) 

・ 神秘の早池峰(はやちね)神楽
大償(おおつくない)神楽保存会  [お話]本田安次(日本芸能史)  

・ アニエス・メロンの笑いのまなざし
アニエス・メロン(ソプラノ)   藤井一興(ピアノ)  

・韓国の仮面劇 1
鳳山仮面劇(ポンサンタルチュム)−民衆芸能の風刺と笑い   レクチャー:「鳳山仮面劇における笑いの世界」  [講師]李 杜鉉(韓国演劇史)   鳳山仮面劇保存会  金 先峰  梁 蘇云  尹 玉  金 洙  金 愛仙  ほか  

・ オーケストラの戯れ−道義とベレゾフスキーの出会い
井上道義(指揮)  ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)   新日本フィルハーモニー交響楽団 


■ バックナンバー販売へ

■ 音楽祭 トップへ




CopyRight © 2006 Arion-Edo Foundation.?
プライバシーポリシー