■ 企画構成 谷本一之/新倉俊一/船山信子/吉田敦彦
■ 期間 1997年7月4日〜1997年7月23日
■ 撮影 竹原伸治

【企画趣旨】  第12回に続き「共創のコスモロジー」を音楽祭のテーマとして選びました。「共創」という言葉には、異性・異文化・異人種・異種生物などと単に共生するだけでなく、共に新しい関係と価値観を創り出そうという願いがこめられています。今回は、このコンセプトのもと、神話・伝説に新しい光をあてます。
この地上に出現してからこのかた、人間はいつどこでも神話を生み、その神話を生きながら、神話によって生かされてきました。神話の生命は、各地の伝説にも受けつがれています。宗教は、女性の生む力に神秘を感じ、母神を祭ることで始まったので、最古の神話の主なテーマは、万物を生んで育てるその偉大な母神の不思議な働きでした。男の力はその中では、母神の営みを助け補うものとされていました。つまり神話と伝説に語られてきた、男女共創のコスモロジーの中で、そもそもの主役は女性で、男はその不可欠な脇役だったのです。
共創をテーマとする神話と伝説は世界中の至るところで、ただ語られてきただけではありません。歌われ、踊られ、演じられてもきたので、音楽、舞踊、演劇は、起源にまで溯って、神話・伝説と不可分の結びつきを持っています。高千穂神楽や韓国のムーダンの祭、ユーカラとサハの神話のパフォーマンスなどは、その結びつきのさまざまなありようを、まざまざと実感させてくれます。さらに旧約聖書のダニエル伝説に取材した中世音楽劇をはじめとする様々な芸術音楽から、その結びつきの伝統が、ヨーロッパの音楽文化の中でも強い生命を持ち続けてきていることを、深い感動をもって味わっていただけると確信しています。

高千穂の夜神楽

ゲーリー?スナイダー 山河にうたう

預言者ダニエル物語




・高千穂の夜神楽
高千穂町浅ヶ部神楽保存会  お話:吉田敦彦(神話学) 

・ゲーリー・スナイダー 山河にうたう
ゲーリー・スナイダー(詩人)  藤田六郎兵衛(笛)  大倉源次郎(小鼓)  亀井広忠(大鼓)   原 成吉(アメリカ文学)  

・共創のコスモロジー:大地母神の力
[司会]吉田敦彦  [パネリスト]鎌田東二(宗教哲学・神道学)   ゲーリー・スナイダー(詩人)  安田喜憲(環境考古学)  

・媚薬から聖杯へ−中世の愛の変遷−
[司会]吉田敦彦  [講師]新倉俊一(中世フランス文学)  ミリアム・ルジェリ(ソプラノ)   ブリュノ・ボテルフ(テノール)   ニューヨーク古楽アンサンブル 

・預言者ダニエル物語−旧約聖書から甦る奇蹟のスペクタクル
ミリアム・ルジェリ(ソプラノ)  ブリュノ・ボテルフ(テナー)  ジョエル・ミッチェル(バリトン)  オリヴィエ・ペイルブリュヌ(バス)  東京少年少女合唱隊  ニューヨーク古楽アンサンブル  ほか 

・伝説への誘ない
緑川まり(ソプラノ)   佐野成宏(テノール)   飯森範親(指揮)  東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団  

・北の口承神話−アイヌのユーカラとシベリア・サハ(ヤクート)のオロンホ
[講師]谷本一之(民族音楽学)  ユーリ・シェイキン(民族音楽学)  中本ムツ子(カムイ・ユーカラ演唱)  ダリア・トムスカヤ(オロンホ演唱)   アファナシ・ソロヴィエフ(オロンホ演唱)  ほか 

・樫本大進 ヴァイオリン・リサイタル[アリオン賞受賞記念]
[司会]吉田敦彦  樫本大進(ヴァイオリン)  野平一郎(ピアノ)  

・韓国のムーダン−語る神々
[解説]崔吉城(チェ キルソン:文化人類学)   東海岸豊漁祭別神祭保存会  


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